私たちは本事業において、「体性感覚・聴覚インタラクションに基づく運動支援プラットフォームの構築とパーキンソン病患者の歩行障害緩和のための活用」を実施するコンソーシアムの参画者として採択されました。
本事業の概要
事業名
内閣府総合科学技術・イノベーション会議の定める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期/バーチャルエコノミー拡大に向けた基盤技術・ルールの整備(研究推進法人:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO))
委託件名
体性感覚・聴覚インタラクションに基づく運動支援プラットフォームの構築とパーキンソン病患者の歩行障害緩和のための活用
実施期間
2023年9月28日~2026年3月31日
コンソーシアム参画者
- 国立研究開発法人 産業技術総合研究所
‒ 実施項目①:スマートシューズによる歩行障害計測技術の研究開発
‒ 実施項目②:神経筋骨格モデルによる介入効果予測技術の研究開発 - 国立大学法人 九州工業大学
‒ 実施項目③:体性感覚 (人工筋肉・モータ) による介入技術の研究開発 - 学校法人 慶應義塾
‒ 実施項目④:聴覚 (音楽) による介入技術の研究開発 - 学校法人 令和健康科学大学
(福岡和白病院・クリオ訪問看護リハビリステーション)
‒ 実施項目⑤:システムの性能・運用性・受容性評価に関する研究開発 - 株式会社 ORPHE
‒ 実施項目①:スマートシューズによる歩行障害計測技術の研究開発
目的
パーキンソン病(PD)患者の増加は他の疾患と比較して際立って急速であり、2040年には世界で1300万人に達すると推定されています。このような患者の増加を、感染症の世界的大流行になぞらえて、PDパンデミックと表現した論文も存在します(Dorsey and Bloem, 2017)。
PD患者は、PDに特徴的な歩行障害(すくみ足、小刻み歩行、突進歩行など)に起因する転倒・転落を契機として寝たきりになることが多いため、PD患者の歩行障害緩和は社会的価値が非常に高い取り組みです。
PD患者の歩行障害には、視覚や聴覚等への感覚刺激により症状が緩和されるという不思議な特徴があります。本事業では、スマートシューズによる歩行障害の検知データに基づいて、体性感覚や聴覚を介した運動支援プラットフォームの構築を目指します。
事業内容
この事業では、インターバースを「ユニバース」と「メタバース」を接続するためのインタフェース技術とメタバース上での様々な条件におけるシミュレーションに基づき最適解を導出するための数値解析技術と位置付けます。
このインターバース上に、パーキンソン病(PD)患者の神経筋骨格系を再現したデジタルツインを基軸として、スマートシューズによる計測技術と、体性感覚や聴覚による介入技術を統合した、歩行障害緩和のための運動支援プラットフォームを構築します。デジタルツインを基軸とすることで、歩行障害の発生機序に関する研究や、歩行障害のタイプに応じた有効な介入方法の予測が可能になります。
また、このプラットフォームの社会実装を念頭に置き、リハビリテーション施設と連携してPD患者の実生活シーンにおける試験運用を実施します。